AppleはもともとiPhoneやiPadなどのiOSデバイスを“脱獄”することはタブーだと考えています。これは自明であり、現在、AppleのWebサイトに公開されている「iOSの不正改造」について更新されたApple Supportのページでは改めて“脱獄する”ことについて完全に禁じています。
6月15日に更新された「Unauthorized modification of iOS can cause security vulnerabilities, instability, shortened battery life, and other issues(iOS の不正改造は、セキュリティの脆弱化、不安定化、バッテリー駆動時間の低下などの問題を引き起こすおそれがある)」ページでは、iOSデバイスを“脱獄”することによる潜在的な危険性、副作用についての問題を取り上げています。これは日本語の「Apple サポート」ページでも掲載されています(公開日は2016年10月4日となっており古いのですが、内容はほぼ同様のように思われます。英語版の記事のどこが更新されたかは定かではありません。)。
ほぼ、記事内容が同様に見受けられるので、“脱獄”“ジェイルブレイク”による潜在的な危険性、副作用についての問題を日本語のページから転載します。
iOSを不正改造(「ジェイルブレイク」「脱獄」)しない6つの理由
1.セキュリティの脆弱化
デバイスをジェイルブレイクすると、個人情報や iOS デバイスを保護するために設計されたセキュリティレイヤーが取り除かれます。このセキュリティ機能が iOS デバイスから削除されると、ハッカーが個人情報を盗んだり、デバイスに損傷を与えたり、ネットワークに攻撃を仕掛けたり、マルウェアやスパイウェア、ウイルスを仕込んだり、ということがしやすくなります。
2.不安定化
デバイスが頻繁に突然クラッシュしたり、内蔵 App や他社製Appがクラッシュ/フリーズしたり、データが失われたりします。
3.バッテリー駆動時間の低下
ハッキングされたソフトウェアによりバッテリー低下が加速し、バッテリーの1回の充電によって iPhone/iPad/iPod touch を駆動できる時間が短くなります。
4.音声やデータ通信の信頼性低下
通話が途切れたり、データ通信接続が不安定になったり、位置情報が不正確になったり遅延したりします。
5.サービスの途絶
iCloud、iMessage、FaceTime、Apple Pay、Visual Voicemail、天気、株価などのサービスが使用できなくなったり、デバイス上で動作しなくなります。さらに、Apple プッシュ通知サービスを使用している他社製 App で通知を受け取りにくくなったり、不正改造された別のデバイスの通知を受け取ったりするようになります。iCloud や Exchange のようなほかのプッシュ型サービスでは、サーバとデータの同期に関する問題も発生します。
6.ソフトウェアアップデートを適用できない
不正改造は iOS に修復不可能な損傷を与える場合があります。この結果、将来 iOS アップデートをインストールした際、不正改造されている iPhone/iPad/iPod touch が永久的に操作不能となる可能性があります。
このサポートページでは、iOSデバイスを“脱獄/ジェイルブレイク”する潜在的な危険性について有効な知識をうることに重点が置かれているようです。iOSユーザーにとって“脱獄/ジェイルブレイク”は自分のデバイスを守るために阻止すべきものという観点で書かれていることは確かです。そして、“脱獄/ジェイルブレイク”をした場合の利点については一切触れていません。
Appleは記事の最後で、改造されたデバイスについてiOSのソフトウェア使用許諾契約に違反しており、不正なソフトウェアがインストールされている iPhone、iPad、およびiPod touchについては修理サービスを拒否する場合があるとしています。
Appleは、iOSにKPP(カーネル・パッチ・プロテクション)機能を組み込むことで、ハッカーがツールを開発することを困難にして“脱獄”の防止に躍起になっています。ただ、これは“イタチごっこ”ですが、KEENLABが最初のiOS 12ベータ版の“脱獄”に成功した実演動画を公開しています。
Appleの最新の“アンチ脱獄/ジェイルブレイク”記事ですが、あなたは肯定派?それとも完全否定派でしょうか?
Source:Apple Support/Apple サポート