iOS脱獄の代名詞とも言える“Cydia”、その名を冠したiOS脱獄ユーザー御用達の「Cydia Store」が閉鎖されたようです(先週いっぱい)。ひとつの時代の終焉を感じさせるエポックな出来事ではあります。
とは言え、Cydiaアプリがなくなるわけではありません。iPhoneやiPadなどのiOS脱獄(Jailbreak/ジェイルブレイク)の代名詞とも言える「Cydia」の開発者であるsaurik(ソーリック)こと本名Jay Freeman氏がが運営する「Cydia Store」が閉鎖するということで、同氏が海外掲示板「Reddit」上で発表したもの。
saurik氏はすでに、Cydia Storeにコストをかけて維持する情熱も価値も感じておらず、今年2018年末までにCydia Storeを閉鎖しようとしていたようです。そして、ストアのクローズを早めたきっかけは、ユーザーを危険にさらす可能性のあるバグが発見されたためのようです。
The issue was regarding the ability for arbitrary depiction pages to make unconsented cydia store purchases if the user was logged into their cydia store account and chose to link their paypal info to the their account. I repeat, no user data was ever at risk of being leaked.
— Andrew Wiik (@Andywiik) 2018年12月13日
開発者のAndrew Wiik氏が発見したこのバグの内容は、ユーザーがCydia Storeからアプリを購入する際に利用するPayPalアカウントを利用するのですが、Cydiaアカウントのリポジトリを悪意のある第三者が閲覧することで、この他人のPayPalアカウントを利用して任意の有料アプリを購入できてしまうというものです。
saurik氏は、このバグを修正することがCydia Storeを運営することと同様にコストに見合わないと考えたようです。このため、早々の閉鎖を決めた模様です。すでにCydia Storeは先週末ようりバグへの対処により、アプリを購入することができなくなっています。
ただ、Cydia Storeはその使命をすでに終えており、“脱獄”コミュニティのユーザーもCydia Storeを利用することはほとんどなく、影響も軽微であると言われています。
とは言え、Cydia StoreからTweakやアプリが購入できなくなることは、一時代の終わりを感じさせる出来事です。“脱獄”によってしかできなかった各種機能は、すでに多くのものがiPhoneなどのiOSデバイスの正規の機能としてできるようになり、もはや“脱獄”する必要すらなくなってきているのが現状です。
あえてセキュリティ(安全性)機能を著しく低下させてまで価値のある脱獄Tweakや脱獄アプリは存在しないかもしれません。実際、iOS 12以降のバージョンに対しては、現段階で脱獄ツールは一つもリリースされていません。もはや“脱獄ツール”を必要とする時代は終わったのかもしれません。
Source:9to5Mac