Mozillaは2017年11月15日、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデート版を「Firefox Quantum(バージョン57.0)」と命名し、リリースしました。
Firefox Quantumの目玉はなんといっても、その高速化されたブラウジング機能でしょう。処理速度は、半年前(3月29日)にリリースされたFirefox 52.0.2の2倍となりました。Mozillaでは、この高速化を可能としているFirefoxの新エンジンは、「1,000個のタブを開いたとしても応答性が高い」と豪語しています。
コンピューターがスムーズに動作するためのメモリ効率はGoogle Chromeより30%軽量化が図られています。これは、Google Chromeで度々問題となる多くのタブを開いている際のメモリ消費によるブラウジングの遅延がFirefox Quantumでは軽減されることを言いします。
また、UIも大きく変わりました。タブや各種ボタンのデザインが一新され、ナビゲーション機能がツールバーの左サイドに集められ、Pocketやページ操作に関わるツールなどはツールバー内に直接収められています。
Firefox Quantum(57.0)デスクトップ版の新しい機能
新機能
- 近年主流となっている端末の処理能力を最大限に活かす よう設計された、まったく新しいブラウザーエンジン。
- サッパリとしたモダンな外観、一貫性のある視覚要素、タッチスクリーンへの最適化を備えた、再設計されたユーザーインターフェイス。
- 統合されたアドレスバーと検索バー。新規インストール時は統合バーが表示されます。ツールバーへ単独の検索バーを追加する方法はこちら。
- 最も頻繁に訪れているサイト、最近見たページ、Pocket からのおすすめ記事 (現時点では米国、カナダ、ドイツのみ) を含む、改良された新しいタブページ。
- 新規および戻ってきた Firefox ユーザーに慣れてもらうための新しい製品ツアー。
- メディアを再生しているタブが背面へ送られた際に動画のデコーディングを停止するようにしました。動画の再生はタブが前面へ戻ったときに再開されます。音声は影響を受けません。
- より少ない消費電力で動画の再生を改善する、AMD VP9 ハードウェア動画デコーダーへの対応。
- すべてのサイト設定を管理できる、設定画面内の拡張セクション。
修正
- 様々な セキュリティ問題 を修正しました。
変更
- Firefox は今後 WebExtensions API で作られた拡張機能のみに対応し、非対応となった旧式拡張機能を無効化します。背景となった 拡張機能のパフォーマンスやセキュリティを改善する取り組みについてはこちらで説明しています。
- ブラウザーの自動スクロール機能にマウスホイールなど他の入力方式と同様の非同期スクロールを採用し、よりスムーズなスクロール体験を提供します。
- Firefox 56 で Windows と macOS 向けに提供された保護と同様に、Linux システム上で、ファイルシステムの読み書きをブロックする、より厳格なセキュリティサンドボックス をコンテンツプロセスに適用しました。
- Linux システム上で、コンテンツエリアないでマウスの中クリックによる貼り付けを実行した場合でも、その内容の URL へ遷移しなくしました。
- 共有ボタンを削除しました。この機能に頼っていたユーザーは、Share Backported 拡張機能で代用可能です。
- ATOK 2006、2008、2009、2010 を含む一部の古い ATOK 日本語入力システム (IME) は、Firefox Quantum の Windows 64 板状ではクラッシュを引き起こすことから、無効化する措置を講じました。この非互換性問題を解決するには、ATOK のより新しいバージョンか他の IME を使ってください。
- Windows 版の日本語既定フォントを、MS PゴシックとMS P明朝からメイリオと游明朝に変更しました。等幅フォントはMS ゴシックのままです。
- 日本語版の組み込みフィードリーダーを、サービスが終了した Live Dwango Reader から、Feedly、Inoreader、AOL Reader、Feed Watcher に変更しました。
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開発者
- 開発ツールの Light、Dark 両テーマを、Firefox Quantum の新しい視覚スタイルに合わせて 完全に刷新 しました。
- インスペクターで、マウスオーバー時に CSS 変数の値を表示するようにしました。
- まったく新しい、再設計されたコンソールパネル。デバッガー と ネットワークモニター に加えて、コンソールが React や Redux といったモダンなウェブ技術を使って書き直されました。また、コンテキスト内のオブジェクトを調査することも可能となりました。
未解決の問題
- Remote Desktop Connection (RDP) 越しに Windows 版 Firefox を使用しているユーザーは、強化されたセキュリティ制限の影響で音声の再生が無効化されていることに気付くかもしれません。今後のバージョンで修正されるまで この問題を軽減する方法をこちらで説明しています。
- スクリーンリーダーを使用しているユーザーは、パフォーマンスの問題を抱える可能性があり、今後のバージョンで修正されるまで Firefox ESR を使う ことを推奨します。
- Windows と Linux では、古いマイクロコードが使われた Intel Broadwell-U プロセッサー上で Firefox がクラッシュする場合があります。Windows ユーザーは Windows Update で更新をインストールするよう設定されていることを確認してください。Linux ユーザーは Intel マイクロコードのディストリビューションパッケージがインストールされていることを確認してください。
Mozillaは、6〜8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 58」は2018年1月23日(火)のリリース予定となっています。
Source:Mozilla