リオオリンピックでの各国代表選手の熱い戦いも終わり、連夜の寝不足で夏の疲れがどっと出ている方も多いのではないでしょうか。今回のオリンピックではテレビ中継だけでなく、インターネットによるライブ配信などが楽しめるアプリも充実し、さまざまなデバイスでの観戦ができたことも一つの特長だったと言えるでしょう。また、TwitterやInstagramなどのSNSでは、代表選手の近況をリアルに感じとれたり、応援メッセージを直接送れたりと、改めてインターネットのおもしろさや可能性を感じることもできたオリンピックでもありました。そこで、今回は世界におけるインターネットやSNS、モバイルなどの利用状況を見てみたいと思います。
今年1月にイギリスのコンサルティング会社“WE ARE SOCIAL”の発表した調査報告書「DIGITAL IN 2016」をもとに比較しています。
依然として世界経済を牽引する「アメリカ」、それを追う「中国」
まず、世界のインターネットの利用状況を見る前に、主要国の人口と経済指標の一つである名目GDPを見てみます。
2015年における世界の人口は約73億人で、そのうち中国(1位)が約13.8億人と全人口の約18%を占めています。アメリカ(3位)は約3.2億人、急激に少子化が進んでいる日本(11位)は約1.3億人です(ちなみに、2位インド、4位インドネシア、5位がブラジル)。
IMF(国際通貨基金)が公表している2015年の名目GDPでは、依然としてアメリカがトップにいるものの、2009年に日本を抜いて2位になった中国がすでに日本の約2.6倍と著しい伸びを示しています。このままの推移でいくと、今後10年の間にアメリカを抜いてトップになる可能性もあるとも言われています。ここ数年は中国経済の鈍化傾向が語られることも多くなってきているのも事実ですし、経済指標はいろいろな要素を見て判断する必要がありますので、一概に良し悪しの判断はできませんが、当面はアメリカと中国が世界経済にさまざまな影響を与えていくことに間違いはありません。
インターネットやSNS、モバイルの利用者の実数を見ると、やはり相対的に人口が多かったり、名目GDPが高かったりする中国やアメリカが上位にきているのですが、各国での利用率や利用時間では実数がそのまま反映されず、各国の特徴がそれぞれ出ている結果になっています。
「日本」での約9割がインターネットを利用、「ロシア」約7割、「中国」約5割
主要国のインターネットの利用者数では、中国の約6億8000万人、アメリカの約2億8200万人に次いで、日本が約1億1500万人です。日本とロシアの順番が入れ替わっていますが、それ以外は上記「人口」グラフに比例しています。
それを利用率で見ると、日本も含めイギリスや韓国、ドイツなど先進国のほとんどで9割近くの人がインターネットを利用しています。しかし、ロシア、イタリアが約7割、中国では約5割と利用率が下がっています。ロシアや中国は大国なだけに大都市に比べ、地方都市でのネットワーク環境が劣っているということが一因として考えられます。
ソーシャルメディアの利用率が最も高い「韓国」、利用時間が最も短い「日本」
日本のソーシャルメディア利用者数は約5300万人。トップの中国は日本の利用者数+約6億人と考えると、改めて中国の強大さを感じざるを得ません。
ソーシャルメディアの利用率で注目したいのが、韓国とドイツ。最も利用率が高い韓国は元々「インターネット大国」とも呼ばれ、国内発のサービスが充実。検索ポータルサイト「Naver」や国民的SNSと言われる「カカオトーク」など、国内での圧倒的なシェアが定着しています。それに比べ、最も利用率が低いドイツは歴史的な背景もあり、情報公開に保守的だったり、プライバシーの問題を重視したりする傾向が強い部分が影響しているのかもしれません。日本やドイツが低いのは高齢化が急速に進み、デジタルネイティブ世代が少ないということも根本にあるようです。
さらに、ソーシャルメディアの1日平均の利用時間を見ると、意外なことに日本だけがかなり少なく0.3時間(約18分)。正直、もっと利用されている気もしますが、日本人は忙しいのでしょうか?
「日本」でのモバイル利用率は84%、主要国全体を見ても各国とも7割超え
モバイルでの接続件数はほぼ上記「人口」グラフと比例しています。例外はあるものの、いつでもどこでも接続できるモバイルの普及は、近年、私たちのライフスタイルを大きく変革させたデバイスの一つです(いい意味でも、悪い意味でも)。途上国の発展も考慮すると、今後、さらに接続件数が急速に増えていくことは確実で、世界的なネットワーク環境の整備やルール決めが必要不可欠になってきます。
モバイルの利用率を見ると、日本とイタリアが最も高く84%。日本については普段生活していると、ほとんどの人の片手にはモバイルが見受けられるのでわからなくはないですが、イタリアはなぜ? インターネットの利用率では63%と主要国ではかなり低い結果だったのに……と思っていたら、ソーシャルメディアの1日平均の利用時間では2時間と主要国でトップ。インターネットの利用はモバイル中心なのが、イタリアンスタイル!?ってことでしょうか。
モバイルでのソーシャルメディアと電子商取引の利用率で最も高いのは「韓国」
日本におけるモバイルでのソーシャルメディアの利用者数は5300万人。欧米に比べ、中国の利用者数が抜きん出ていることもありますが、韓国も含めインドやインドネシアなど、アジア地域ではモバイルソーシャルがコミュニケーションツールの中心になってきています。
ソーシャルメデイアの利用率で最も高かった韓国は、モバイルにおいても他の国を圧倒、約8割が利用しています。前述しましたが、ドイツはソーシャルメデイア自体の利用が低く、ニュースなどでもSNSのデメリットやプライバシー問題などが取り上げられているのを目にします。
過去1か月でのモバイルを利用した電子商取引の利用率で最も高いのも韓国で43%、次いで中国の34%です。モバイル利用率が最も高かった日本は13%と主要国の中では最も低く、楽天やアマゾンなどでのショッピング、ネット銀行の普及なども考えると意外な結果となっています。
このような調査結果は、調査手法や調査時期によっても変わってきてしまいますが、世界のインターネット利用状況の傾向を把握するにはおもしろい結果となっているかと思います。今回参考にした調査報告書「DIGITAL IN 2016」には世界各国のデータがあらゆる角度から掲載されていますので興味のある方は、ぜひご覧ください!
ちなみに、お気づきの方もいたかもしれませんが、今回主要国として取り上げた国は、リオオリンピックで金メダルを獲得した数の多い上位10か国でした。
4年後の2020年東京大会では、日本がどのくらいのメダルを獲得できているかとても楽しみですよね。その時の世界のインターネット勢力図も大きく変わっているのかもしれません。
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