今週火曜日(2017年1月24日)にiPhone、iPad用のOSを最新バージョン「iOS 10.2.1」が正式にリリースされ、その翌日(2017年1月25日)にはiOS 10で3度目のメジャーアップデート版となるiOS 10.3の開発者向けベータ版「iOS 10.3 beta 1」がリリースされました。ここでは、iOS 10.3およびiOS 10.2.1のスピード比較テストの結果を紹介します。
iOS 10.3では、「AirPodsを探す」やApple ID設定などの新機能が追加されていますが、地味に目を引く新機能としてApple File System(APFS)の存在があります。Apple File System(APFS)は、Appleが開発しているHFS+後継のファイルシステムソフトウェアで、NANDフラッシュ記憶装置に最適化され、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスにより強力な暗号化を提供すると期待されています。APFSはiOS10.3 Beta 1より、iOSファームウェアに初めて導入されました。今回のスピード比較テストでは、APFSを導入したiOS10.3と従来のiOS 10.2.1とのパフォーマンスにも興味深いところです。
iAppleBytesが掲載している「iOS 10.3 beta 1 vs iOS 10.2.1」スピード比較テストは、新しいファイルシステムソフトウェアApple File Systemのパフォーマンスを見ることができる動画です。比較対象iOSデバイスは、iOS 10対応デバイスであるiPhone 6s、iPhone 6およびiPhone 5s、iPhone 5の4機種にiOS 10.3 beta 1をインストールし、iOS 10.2.1をインストールした同様のデバイスの別のセットで、それぞれ動作スピードを比較して行われています。
iPhone 6s:iOS 10.3 beta 1 vs iOS 10.2.1
iPhone 6:iOS 10.3 beta 1 vs iOS 10.2.1
iPhone 5s:iOS 10.3 beta 1 vs iOS 10.2.1
iPhone 5:iOS 10.3 beta 1 vs iOS 10.2.1
結果は、iOS 10.3 beta 1を実行しているすべてのiPhoneでiOS 10.2.1を実行している同様の機種よりも早く起動しました。iPhone 6sの場合、iOS 10.3 beta 1では6秒程度で起動し、iOS 10.2.1に比べて3秒程度高速化されています。iPhone 5デバイスに至っては7秒前後早く起動しています。iPhone 6とiPhone 5も同様に起動速度が改善されており、これまでに比べてより早い起動が期待されます。
APFS導入で期待できるパフォーマンスの向上
定番ベンチマークテストアプリ「Geekbench」による計測結果も、シングルコアおよびマルチコアスコアともにiOS 10.3 beta 1での向上が見られます。ただ、iPhone 5では差のない結果となっており、これは32ビットデバイスであることが要因と考えられます。総じて、iOS 10.3 beta 1をインストールしている各種iPhoneデバイスの方が好結果となっていることは、HFS+後継のファイルシステムソフトウェアであるApple File System(APFS)が期待できることを印象付けることとなりました。