Mozillaは2022年5月4日(現地時間5月3日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 100.0」を正式リリースしました。
今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 100.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 100.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- ピクチャーインピクチャーモードにおいて、YouTube、Amazon プライムビデオ、Netflix の字幕、サブタイトルを表示できるようになったページ内のビデオプレーヤー上でサブタイトル表示を有効にすると、ピクチャーインピクチャー内に表示される。
- ピクチャーインピクチャー が、WebVTT (Web Video Text Track) フォーマットを利用するウェブサイトのビデオの字幕表示に対応 (Coursera.org、Canadian Broadcasting Corporation など)。
- インストール後の初回起動時に、Firefox とシステムで言語設定が異なることを検出し、どちらの言語を利用するか尋ねるようになった。
- スペルチェック で複数の言語を対象にできるようになった。テキスト入力フィールドのコンテキストメニューから辞書を追加できる。
- macOS: YouTube の HDR ビデオが利用可能となった。HDR 対応のディスプレイを備えた macOS 11 以降が対象となる (バッテリー設定が「バッテリー使用時のビデオストリーミングを最適化」になっていないことが条件)。
- Windows: AV1 デコードのハードウェアアクセラレーションが有効となった (対応 GPU: Intel 第 11 世代以降、Navi24 を除く AMD RDNA 2、NVIDIA GeForce 30)。Microsoft Store から AV1 Video Extension をインストールすることも必要となる。
- Windows: Intel GPU でのビデオオーバーレイ表示に対応。ビデオ再生時の電力消費を低減。
- 描画とそれ以外のイベントの間の公平性を改善。これにより、Twitch の音量スライダーのパフォーマンス が改善される。
- Linux および Windows: 既定でスクロールバーが表示されなくなった。Linux では設定から変更できる。Windows ではシステム設定に従う。
- イギリスの利用者向けに、クレジットカード情報の自動入力 と保存が有効となった。
- リファラーからのプライバシー漏洩を防ぐため、クロスサイトでのサブリソースや iframe の要求における厳格ではないリファラーポリシーを無視するようになった。これには unsafe-url、no-referrer-when-downgrade、origin-when-cross-origin が含まれる。
修正
- ウェブサイトのカラースキームを選択できるようになった。テーマの作者にとっては、メニューに使用するカラースキームの決定が容易となる。ウェブコンテンツの外観は設定から変更可能である。
- Windows: 今リリースより、インストーラーの署名が SHA-1 から SHA-256 に変更された。Windows 7 環境においては、KB4474419 のインストールが必要となる。この変更についての詳細は Microsoft のテクニカルサポートサイト を参照されたい。
- macOS: macOS 11 以降において、フォントのラスタライズがウインドウごとに 1 回のみとなった。これにより、同じウインドウ内で新しいタブを開いたりタブを切り替えることが高速化される (ウインドウ間でのフォントの共有やフォントの初期化の高速化が今後の課題となる)。
- 多重にネスト化された display: grid 要素のパフォーマンスが大幅に向上。
- 複数の java スレッドのプロファイル化をサポート。
- ウェブページのソフトリロードの際に、すべてのリソースの再検証が行われなくなった。
- vsync ではないタスクの実行により多くの時間が与えられるようになり、Google ドキュメントや Twitch のパフォーマンスが向上した。
- プロファイルの保存の開始/終了時間を制御するための Geckoview API が追加された。
変更
- リンクのフォーカスインジケーターが、従来の点線のものから青の実線に変更された。この変更によりフォーム領域とリンクのフォーカスインジケーターが統一され、ロービジョン利用者にとって識別が容易となる。
- 既定のブラウザーだけでなく、既定の PDF ビューアーとして Firefox を指定できるようになった
- Firefox のバージョンが 100 となり桁数が 3 桁となったことで、ウェブサイトが正常に動作しない可能性がある。詳細はこちらの ブログ記事を参照されたい回避策および問題のあるウェブサイトの報告については、Mozilla のサポート記事 Difficulties opening or using a website in Firefox 100 を参照されたい。
Mozilla のサポート記事:
デスクトップ: https://support.mozilla.org/kb/difficulties-opening-or-using-website-firefox-100
Android: https://support.mozilla.org/kb/difficulties-firefox-android-100
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 100 リリースノート を参照されたい。
Web Platform
- WritableStream API をサポート。オブジェクトにストリーミングデータを書き込めるようになった。
- ReadableStream のサポートにより、ReadableStream を WritableStream に接続する “pipeTo” メソッドにも対応。
- WASM 例外のサポート。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計9個で、重要度別の区分では重要度区分「最高(critical)」はないものの、「高(high)」6件、「中(moderate)」2件、そして最も低レベルの「低(low)」1件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2022-29914: Fullscreen notification bypass using popups
- CVE-2022-29909: Bypassing permission prompt in nested browsing contexts
- CVE-2022-29916: Leaking browser history with CSS variables
- CVE-2022-29911: iframe Sandbox bypass
- CVE-2022-29917: Memory safety bugs fixed in Firefox 100 and Firefox ESR 91.9
- CVE-2022-29918: Memory safety bugs fixed in Firefox 100
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2022-29912: Reader mode bypassed SameSite cookies
- CVE-2022-29910: Firefox for Android forgot HTTP Strict Transport Security settings
重要度「小」のセキュリティ修正情報
- CVE-2022-29915: Leaking cross-origin redirect through the Performance API
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 100 — Mozilla
「Firefox 100.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 100.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 100 システム要件 を参照されたい。また、延長サポート版である Firefox ESR 91.9.0 もリリースされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 101」は現地時間2022年5月31日(火)のリリース予定となっています。
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