Mozillaは2025年3月5日(現地時間3月4日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 136.0」を正式リリースしました。

今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 136.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 136.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- 刷新されたサイドバーを利用可能となった。設定→一般→ブラウザーレイアウトから表示可能となり、AI チャットボット、ブックマーク、履歴、同期したタブに簡単にアクセス可能となる。
- 垂直タブレイアウトが利用可能となった。開いているタブ、ピン留めしたタブをブラウザー上部ではなくサイドバー内に表示できるようになった。設定→一般→ブラウザーレイアウトから「垂直タブ」を選択する、あるいはツールバーのコンテキストメニューから「垂直タブをオンにする」を選択することでこれまでの水平タブから垂直タブに切り替えることができる。新しいサイドバーを表示した状態なら、サイドバーのカスタマイズから「垂直タブ」を選択すことも可能である。
- Cookie とサイトデータの消去 ダイアログで、フォームの入力情報を履歴とは個別に消去できるようになった。
- Smartblock により、厳格な強化型トラッキング防止およびプライベートブラウジングモードによってブロックされたソーシャルメディアにアクセスすることができるようになった。現時点でアクセスできるコンテンツは限定されているが、将来的なアップデートで改善される予定である。
- ページ読み込みの既定を HTTPS によるものとし、安全な接続が利用できない場合に限り HTTP へフォールバックするようになった。これは HTTPS-First と呼ばれる機能である。
- macOS: バックグラウンドタブの一部の電力消費が低減されるようになった。
- macOS: HEVC ビデオのハードウェアアクセラレーションによる再生をサポート。
- Linux: AMD GPU によるビデオのハードウェアデコードをサポート。
- Linux: ARM64 (AArch64) アーキテクチャをサポート。APT レポジトリ―から、および tarball によるインストールが可能である。Flatpak のサポートも予定されている。
- 新しいタブ 内の天気予報が多くの地域で利用可能となった: メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ
- イギリスのユーザー向けに 住所の自動入力 が利用可能となった。
修正
- Firefox の外部で画像をコピーするとき PNG フォーマットを優先するようになった。これにより透明度を保持したままコピーできるようになる。
変更
- 新しいタブ のストーリーで、「Pocket に保存」アクションがボタンから他のアクションと同様にコンテキストメニューに移動された。
- macOS: DMG インストーラーパッケージで LZMA 圧縮を利用するようになった。ダウンロードサイズの縮小およびインストール時間の短縮となる。
- macOS: Sequoia での変更に伴い、.com アドレスへの検索を完了させるショートカットを Ctrl+Enter から Cmd+Enter に変更。
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 136 リリースノート を参照されたい。
Developer
- パフォーマンスの改善のため、開発者ツールのデバッガーエディターで Codemirror 6 を利用するようになった。
Web Platform
- Intl.DurationFormat オブジェクトをサポート。
- CSS :open 擬似クラスをサポート。
- :has-slotted 擬似クラスをサポート。
- CookieStore API をサポート。
- ARIA elements reflection をサポート。
- meta タグおよび
Refresh
ヘッダーによるページ更新から referrer を送信するようになった。 - WebRTC 上での AV1 ビデオの送受信をサポート。送信ではシングルキャスト、サイマルキャストの両方をサポート。
- WebRTC 上でのサイマルキャスト (同一ソースの複数バージョンの同時送信) で H264 コーデックをサポート。VP8 に次ぐサイマルキャスト送信対応となる。
- contenteditable アトリビュートの
plaintext-only
値を指定。 - macOS: 入力フィールドでのテキスト置換機能をサポート。ウェブコンテンツ側は HTML autocorrect アトリビュートによってこの機能を有効化/無効化できる。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計15個で、重要度別の区分では重要度区分「高(high)」8件、「中(moderate)」5件、そして最も低レベルの「低(low)」2件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-1930: AudioIPC StreamData could trigger a use-after-free in the Browser process
- CVE-2025-1939: Tapjacking in Android Custom Tabs using transition animations
- CVE-2025-1931: Use-after-free in WebTransportChild
- CVE-2025-1932: Inconsistent comparator in XSLT sorting led to out-of-bounds access
- CVE-2025-1933: JIT corruption of WASM i32 return values on 64-bit CPUs
- CVE-2025-1937: Memory safety bugs fixed in Firefox 136, Thunderbird 136, Firefox ESR 115.21, Firefox ESR 128.8, and Thunderbird 128.8
- CVE-2025-1938: Memory safety bugs fixed in Firefox 136, Thunderbird 136, Firefox ESR 128.8, and Thunderbird 128.8
- CVE-2025-1943: Memory safety bugs fixed in Firefox 136 and Thunderbird 136
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-1940: Android Intent confirmation prompt tapjacking using Select options
- CVE-2025-9956: Passkey phishing within Bluetooth range
- CVE-2025-1934: Unexpected GC during RegExp bailout processing
- CVE-2025-1941: Lock screen setting bypass in Firefox Focus for Android
- CVE-2025-1942: Disclosure of uninitialized memory when .toUpperCase() causes string to get longer
重要度「低」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-1935: Clickjacking the registerProtocolHandler info-bar
- CVE-2025-1936: Adding %00 and a fake extension to a jar: URL changed the interpretation of the contents
注意事項
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 136 — Mozilla
「Firefox 136.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 136.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 136.0 システム要件 を参照してください。また、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 128.8.0 および 115.21.0 にアップデートされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 137」は現地時間2025年4月1日(火)のリリース予定となっています。
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