Mozillaは2023年8月30日(現地時間8月29日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 117.0」を正式リリースしました。
今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 117.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 117.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- クレジットカード情報の自動入力を IT, ES ,AT, BE, PL ロケールのユーザーにも拡張。
- macOS: tab キーによってフォームコントロールおよびリンク間のフォーカス移動を行えるようになった。
- ウェブサイト上で shift + 右クリックしたときの期待しない振る舞いを抑制するために設定
dom.event.contextmenu.shift_suppresses_event
を追加。
修正
- スクリーンリーダー環境で YouTube 動画リストが正しくスクロールされるようになった。
変更
- Wayland デスクトップ環境で、Firefox 独自のスクリーン共有インジケーターを表示しないようになった。代わりにシステム既定のインジケーターが表示される。
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 117 リリースノート を参照されたい。
Developer
- ウェブ互換性の推定が、開発者ツールのインスペクターの CSS 互換性ツールチップに拡張された。ウェブ互換性の問題を引き起こす可能性のある属性の横にアイコンが表示されるようになる。アイコンにマウスをホバーすると、対応していないブラウザー、MDN へのリンクが表示される。
- 永続ログが有効な場合、
console.clear()
によってコンソールの出力が消去されないようになった。
Web Platform
- 改良された CSS ネスト化を既定でサポート。
RTCRtpScriptTransform
をサポート。ReadableStream.from
をサポート。(非同期の) イテラブルから ReadableStream を生成可能となる。- CSS 属性
math-style
およびmath-depth
、値font-size: math
をサポート。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計13個で、重要度別の区分では重要度区分「最高(critical)」はないものの、「高(high)」7件、「中(moderate)」4件、そして最も低レベルの「低(low)」2件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2023-4573: Memory corruption in IPC CanvasTranslator
- CVE-2023-4574: Memory corruption in IPC ColorPickerShownCallback
- CVE-2023-4575: Memory corruption in IPC FilePickerShownCallback
- CVE-2023-4576: Integer Overflow in RecordedSourceSurfaceCreation
- CVE-2023-4577: Memory corruption in JIT UpdateRegExpStatics
- CVE-2023-4584: Memory safety bugs fixed in Firefox 117, Firefox ESR 102.15, Firefox ESR 115.2, Thunderbird 102.15, and Thunderbird 115.2
- CVE-2023-4585: Memory safety bugs fixed in Firefox 117, Firefox ESR 115.2, and Thunderbird 115.2
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2023-4578: Error reporting methods in SpiderMonkey could have triggered an Out of Memory Exception
- CVE-2023-4579: Persisted search terms were formatted as URLs
- CVE-2023-4580: Push notifications saved to disk unencrypted
- CVE-2023-4581: XLL file extensions were downloadable without warnings
重要度「小」のセキュリティ修正情報
- CVE-2023-4582: Buffer Overflow in WebGL glGetProgramiv
- CVE-2023-4583: Browsing Context potentially not cleared when closing Private Window
注意事項
-
2023 年 1 月に Microsoft による Windows 7 および 8 のサポートが終了したことに伴い、Firefox によるこれらのバージョンの Windows のサポートはバージョン 115 で終了しています。Windows 7 および 8 のユーザーは、ESR 115 系列へ自動的に移行され、2024 年 9 月までセキュリティ修正が提供されます。詳細は サポート記事 を参照してください。
同様に、Apple macOS 10.12、10.13、10.14 のサポートもバージョン 115 で終了しています。これらのユーザーも ESR 115 系列へ自動的に移行され、2024 年 9 月までセキュリティ修正が提供されます。詳細は サポート記事 を参照してください。
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 117 — Mozilla
「Firefox 116.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 117.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 117.0 システム要件 を参照してください。また、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 115.2.0 にアップデートされているほか、 Firefox ESR 102.15.0 もリリースされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 118」は現地時間2023年9月26日(火)のリリース予定となっています。
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