Mozillaは2025年12月10日(現地時間12月9日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 146.0」を正式リリースしました。

今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 146.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 146.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- (段階的な展開) Windows: Windows ユーザーが Firefox バックアップを有効にすると、パスワード、ブックマークなどが自動的に保護されるようになった。Firefox のデータは毎日デバイスに保存され、パスワードで暗号化される。新規セットアップの際に、バックアップファイルを選択してデータを復元できる。この機能は現時点では Windows でのみ利用可能であり、他の OS でも近い将来利用可能となる。
- macOS: 分離された GPU プロセスが既定で有効となった。これには WebGPU、WebGL、Firefox 自身の WebRender が含まれる。この機能により、グラフィックに関する致命的なエラーが発生してもブラウザー全体がクラッシュすることはなくなり、GPU プロセスのみが自動的に再起動される。
- Firefox の調査へ参加、あるいはテレメトリ情報の送信に同意していないデスクトップユーザーでも Firefox Labs が利用可能となった。より多くのユーザーが実験的な機能を利用可能となる。
- (段階的な展開) 検索語句の入力中に検索結果のページをスキップして直接アクセスできるようになった。
- (段階的な展開) EU を含む複数の地域において、新しいタブの天気のオプトインワークフローを利用可能となった。現在地情報を利用するか手動で場所を指定するか選択できる。
- Linux: Wayland 環境において分数スケーリングをネイティブサポート。
- フランス、ドイツ、イタリアの英語版ユーザー向けに、アドレスバーに祝日や重要な日付のサジェストが英語で表示されるようになった。
修正
<input type="time">および<input type="datetime-local">でタイムピッカーが有効な場合、完全なキーボードおよびアシスト技術がサポートされるようになった。このアップデートにより、モーションを減らしたいユーザー向けの挙動も改善される。
変更
- 配色設定 において、色のサンプルの横に色名が表示されるようになった。これにより、テキスト、拝啓、リンク色の調整が容易となる。
- Windows: Direct2D のサポートを終了。Direct2D を必要とする場合、Firefox ESR 140 系列を使用されたい。
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 146 リリースノート を参照されたい。
Developer
- DTLS 1.3 のハンドシェイク中にポスト量子暗号鍵共有を送信することで、WebRTC で ML-KEM を利用可能となった。ML-KEM は次世代の公開鍵システムであり、量子コンピューターでの攻撃への耐性を持つと考えられている。
- WebCrypto において、圧縮された楕円曲線ポイントをサポート。公開鍵のサイズをおよそ半分にすることが可能となり、帯域、ストレージの節約に寄与する。
- Skia グラフィックライブラリーを更新し、レンダリングのパフォーマンス、互換性を向上。
- インスペクターのルールビューにおいて、使用されていない CSS のカスタムプロパティが既定で非表示となった。
Web Platform
- @scope ルールをサポート。DOM のサブツリーのスタイルを厳格化することが可能となり、オーバーレイ依存のセレクタを記述する必要がなくなった。
contrast-color()CSS 関数をサポート。この関数は色の値を取得し補色を返す。現時点で 規格 上の補色は黒および白に限定されているが、将来的にこの制限は除去される予定である (詳細)。- text-decoration-inset プロパティ を導入。線装飾の始点・終点を調節可能となる。
- CSS の
widthおよびheightプロパティにおいてレガシーな-webkit-fill-availableキーワードをサポート。このキーワードはより新しい標準化されたstretchキーワードのエイリアスとなる (このキーワードは Firefox ではまだサポートされていない)。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計13個で、重要度別の区分では重要度区分「高(high)」5件、「中(moderate)」8件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-14321: Use-after-free in the WebRTC: Signaling component
- CVE-2025-14322: Sandbox escape due to incorrect boundary conditions in the Graphics: CanvasWebGL component
- CVE-2025-14323: Privilege escalation in the DOM: Notifications component
- JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-14325: JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-14326: Use-after-free in the Audio/Video: GMP component
- CVE-2025-14327: Spoofing issue in the Downloads Panel component
- CVE-2025-14328: Privilege escalation in the Netmonitor component
- CVE-2025-14329: Privilege escalation in the Netmonitor component
- CVE-2025-14330: JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-14331: Same-origin policy bypass in the Request Handling component
- CVE-2025-14332: Memory safety bugs fixed in Firefox 146 and Thunderbird 146
- CVE-2025-14333: Memory safety bugs fixed in Firefox ESR 140.6, Thunderbird ESR 140.6, Firefox 146 and Thunderbird 146
既知の問題
未解決
- Windows: セカンドモニター上で Firefox を最大化している場合、画面の最上部でタブをクリックしても機能しない。 (バージョン 147.0 で修正)
Firefox 146.0 についての一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
注意事項
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 146 — Mozilla
「Firefox 146.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 146.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 146.0 システム要件 を参照してください。また、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 140.6.0 および 115.31.0 がリリースされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 147」は現地時間2026年1月13日(火)のリリース予定となっています。






