Mozillaは2025年11月12日(現地時間11月11日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 145.0」を正式リリースしました。

今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 145.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 145.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- PDF に コメントを追加、編集、削除できるようになった。コメントサイドバーで自分のコメントを検索、ジャンプすることもできる。
- ブラウザーのフィンガープリントの削減に関する研究に基づく、新しいフェイズのプライバシー保護。ユニークと判定されるユーザーの割合をほぼ半減させ、ウェブ閲覧における安全性、プライバシーの向上に寄与する。強化型トラッキング防止機能を厳格に設定することで利用可能となる。
- タブグループ内にどのタブがあるかのリマインダーを追加。タブグループの名前にマウスをホバーすることでグループ内のタブのプレビューが表示される。
- サイドバーから保存されたパスワードにアクセス、管理できるようになった。
- 「選択部分へのリンクをコピー」によって テキストフラグメントによるリンク を提供できるようになった。
- 右横書き言語と左横書き言語の間での翻訳機能の改善。
- 「アプリからのリンクを使用中のタブの隣に開く」設定を追加。
- 改良されたバウンストラッキング保護のステートレスモードが強化型トラッキング防止機能の厳格モードで既定で有効化された。リダイレクトを利用したトラッキング技術をより強力にブロックする。
- Windows: 既存のデスクトップショートカットがデスクトップランチャーに置き換えられる。これは Firefox がインストールされていれば Firefox を起動するが、インストールされていない場合は Firefox のインストールを促す小さなプログラムである。これは OneDrive などのクラウドストレージで同期され、新しい Windows デバイスをセットアップしたときに Firefox を簡単にインストールできるようになる (詳細)。
変更
- Linux: 32 ビット版 Linux のサポートを終了。64 ビット版への移行が推奨される。
- 水平タブのデザインが、垂直タブと同様より丸みを帯びたものとなり、ボタン、アドレスバーなどのテキスト入力も一貫性のあるものに更新された。
- アドオンがインストールされていない状態でアドオンボタンをクリックすると、アドオンによってブラウジング体験がいかに改善されるかを示すテキストが表示され、Firefox Add-ons ストアへのリンクが表示されるようになった。
- ローカル翻訳モデルが Zstandard によって圧縮されるようになった。ダウンロードサイズ、デバイスのストレージ消費が低減される。これまで通り、すべての Firefox 翻訳はデバイス上で完結し、機密情報やプライバシーが外部へ送信されることはない。
- エージェンティックなブラウジング体験をよりよくサポートするために既定の自動設定を更新。タスクの完了のためのステップを低減。
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 145 リリースノート を参照されたい。
Developer
- Microsoft UI Automation の段階的なロールアウトを完了。これは Windows の新しいアクセシビリティフレームワークであり、ユーザーに対してアシスティブテクノロジーを提供するものとなる。
Web Platform
Atomics.waitAsyncプロポーザルのサポートを追加。これはAtomics.waitの非ブロック、非同期版である (詳細は MDN ドキュメント を参照されたい)。- 新しい
Integrity-Policyヘッダーをサポート。スクリプトのサブリソースの正当性チェックを強制するものである。このヘッダーのさらなる実装も進行中である。 - 広く利用されているコーデック (AVC, HEVC, VP8, VP9, AV1, AAC, Opus, Vorbis) における Matroska のサポートを追加。
- text-autospace プロパティをサポート。異なる言語の文字種の間のスペースを自動的に調整。
- macOS: Apple シリコンを搭載した macOS 26 (Tahoe) において WebGPU DOM API (スペック; MDN ドキュメント) をサポート。詳細は Mozilla Graphics Team Blog を参照されたい。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計16個で、重要度別の区分では重要度区分「高(high)」9件、「中(moderate)」6件、そして最も低レベルの「低(low)」1件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-13021: Incorrect boundary conditions in the Graphics: WebGPU component
- CVE-2025-13022: Incorrect boundary conditions in the Graphics: WebGPU component
- CVE-2025-13012: Race condition in the Graphics component
- CVE-2025-13023: Sandbox escape due to incorrect boundary conditions in the Graphics: WebGPU component
- CVE-2025-13016: Incorrect boundary conditions in the JavaScript: WebAssembly component
- CVE-2025-13024: JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-13025: Incorrect boundary conditions in the Graphics: WebGPU component
- CVE-2025-13026: Sandbox escape due to incorrect boundary conditions in the Graphics: WebGPU component
- CVE-2025-13027: Memory safety bugs fixed in Firefox 145 and Thunderbird 145
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-13017: Same-origin policy bypass in the DOM: Notifications component
- CVE-2025-13018: Mitigation bypass in the DOM: Security component
- CVE-2025-13019: Same-origin policy bypass in the DOM: Workers component
- CVE-2025-13013: Mitigation bypass in the DOM: Core & HTML component
- CVE-2025-13020: Use-after-free in the WebRTC: Audio/Video component
- CVE-2025-13014: Use-after-free in the Audio/Video component
重要度「低」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-13015: Spoofing issue in Firefox
Firefox 145.0 についての一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
注意事項
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 145 — Mozilla
「Firefox 145.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 145.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 145.0 システム要件 を参照してください。また、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 140.5.0 および 115.30.0 がリリースされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 146」は現地時間2025年12月9日(火)のリリース予定となっています。






