LINEやTwitteといったインターネット上のサービスを使うには、最初、アカウントを作成する必要がある。iPhoneやAndroidでアプリをダウンロードするにもApple IDやGoogleアカウントが必要になる。では、アカウントとは何か。ネットで調べてみると、わかったようでわからない。それぞれ勝手なことを言っている。なぜ、そうなるのか考えてみた。
アカウントの意味、IDの意味
まず、アカウントの基本的な意味。「コンピューターやインターネット上のサービスを使うための権利のこと」で、ID(アイディー)とパスワードの2つがセットになっている。もちろん、IDはidentificationの略で、利用する個人を識別するための番号や略称だから、「他に同じものがない」という意味でユニークでなければならない。このへんは共通している。
個人を識別するためのIDは昔からあった。社員番号、学生証番号、免許証番号、パスポート番号など個人を識別するために発行されるのがIDで、管理者が勝手に決めて、利用者はそれをもらうものだった。というより、管理のための「番号」という側面が強く、免許証番号やパスポート番号を使う場面は日常生活にはめったにない。
それが、YahooメールやGメールといったフリーメールが普及するようになってから、事情が変わった。「サービスを利用する」側面が強くなり、IDの登録自体も利用者(ユーザー)自身が行うようになった。つまり、IDという言葉が使われる文脈が変わってきたことで、IDの呼び方も変わっていったということなのだ。
その拡張(混乱?)ぶりをgoogle検索で拾ってみる。
・アカウント (ID) には、パスワードが関連付けられている。
・アカウントIDは、 アクセス権のある権利(アカウント)者の名前(ID) になる
・インターネットに接続するために契約するプロバイダがユーザーに発効する「ユーザーID」は、「アカウント」になる。
・登録を伴うサービスなどではアカウントやIDをユーザーアカウントやユーザーIDと表現することもあります。
・ユーザーIDとアカウントIDの違いってなんですか?
・ユーザー名とアカウント名の違いを教えて下さい。
・「ユーザーアカウント」情報って、「ユーザーID」と「パスワード」をセットにした情報でよいのですよね?
↓
アカウント (ID) というのは、アカウント=IDということなのか?
だったら、アカウントIDって何だ?
ユーザーID、ユーザーアカウントのユーザーは、どこから出てきたんだ?
どこから手をつけていいかわからないが、「ユーザー」「アカウント」「ID」といった言葉の周りをグルグル回っていることだけはわかる。図にして整理してみるとこうなる。
もちろん、すべての言葉が同じことを指し示しているわけではないが、だいたい同じことを言っている気がする。
ユーザー>アカウント>ID
よく見ると、言葉の使われ方に順番がある。
ユーザー>アカウント>ID
「ユーザーアカウント」「ユーザーID」と言っても、「IDユーザー」「IDアカウント」とは言わない。日本語の性質として、修飾語は必ず修飾される言葉の前に来る。
きれいな 花
おいしい 餃子
「きれい」や「おいしい」は「花」や「餃子」を修飾しているだけなのだ。これと同じで、
ユーザーアカウント=ユーザーのアカウント
ユーザーの所有するアカウント。誰のアカウントかを明示的に言っている
ユーザーID=ユーザーのID
ユーザーの持っているID。誰のIDかを明示的に言っている
アカウントID=アカウントのID
あなたが権利を持っているID。権利があるIDであることを明示的に言っている
というくらいの意味で使われている。
ただ、管理者ではなくユーザーのIDを強調するときは「ユーザーID」になるだろうし、サービスを利用する権利を強調したいときは「アカウントID」になるということだ。いずれにしろ「ID」が言葉の中心になっている。
IDの拡張法(?)にはもう一つ、別の方向がある。IDはパスワードと一緒にログインに使われるが、このIDの役割を強調したり、明示的に言うために「ログイン名」と言ったり、「ログインID」と言ったりする。
「(管理者が)個人を識別するための番号や略称」から、「(ユーザーが)サービスを利用するための権利」にIDの意味が拡張する中で、どの役割や機能を強調するかで「ユーザー」「アカウント」「ログイン」と「ID」がいろいろな結びつき方をしているということなのだろう。
“全部乗せ”を検索してみる
ここで、意地の悪い想像が浮かんでくる。
ユーザーアカウント(ユーザーの持っているアカウント)
と言えるなら、
ユーザー・アカウント・ID
という3語が結びついた言い方も出てくるのではないか。
検索してみたら、「ユーザーアカウント/ID」「ユーザーアカウント(IDとパスワード)」と、たまたま同じ語順の場合もあったが、一語として使われている場合があった。
・これら複数のサービスでのユーザーアカウントIDが関連付けられて収集されるため、後で悪用・転売などされる可能性があります。
・Windows Home Server 2011を使用している経験からはユーザーアカウントIDが同じであれば同じユーザーと認識されると思うのですが
・ユーザーアカウントIDごとにパスワードを変えられるので、複数の相手先に、各々のアカウントを振り分けられます。
「ユーザーアカウントID」も、「ユーザーが権利を持っているID」と考えれば意味は通る。
「ユーザーアカウントID」が1語として成立するなら、これがログインにも使われることを強調するために、まさか「ログインユーザーアカウントID」はないよね。と思って検索してみたら、”全部乗せ”はなかったが、こんなのが出てきた。
ログインユーザーアカウント(IDではなく、アカウント名)
ということは「ログインユーザーID」「ログインアカウントID」という言い方もありか???
調べてみたら、あった。もう、嫌〜ん!
(「ログインユーザーID」も図に書き込むには「ログイン」を別レイヤーにしないとダメだと後で気づいたのですが、せっかく作ったので載せときます)
この話に落ちはあるのか。次回をお楽しみに。
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