メインで使っているブラウザはなんですか?Google Chrome?あるいはMozilla Firefoxでしょうか?はたまたMicrosoft EdgeやSafariということもあるかもしれませんね。先週、GoogleはChrome 64を、MozillaがFirefox 58をそれぞれ1日違いでリリースしました。でも、GoogleもMozillaもメインブラウザの開発にほぼ6週ごとに新しいバージョンをリリースしており、このタイミングに深い意味はありません。見るべきものは、むしろその中身だと言えます。そう、「ブラウザ戦争、ふたたび!」と言ったところでしょうか。
ちなみに、Mozilla Firefoxはわたしにとって個人的に思い入れの深いブラウザです。今年はFirefoxの前身とも、ブラウザの始まりとも言えるMosaicが開発されてからちょうど25周年の節目でもあります。Firefoxは、このMosaicの正当な継承者と言えます。
現代社会では、多くの人がブラウザに向かって時間を費やしています。ブラウザは単にネットワークにつながる扉といった以上の意味があります。そのパフォーマンスによっては費やした時間に比べ、そのカバレッジが得られないということもあるでしょう。
2018年は“広告”と“パフォーマンス”で勝負!?
Googleは、Chromeで広告と掲載結果に重点を置いたユーザーエクスペリエンスに傾注しているように見えます。Windows、Mac、およびLinux向けに先週リリースされたChrome 64では、50を超えるセキュリティ修正やCPUの「Spectre」セキュリティ脆弱性への対策に加え、強力なポップアップブロッカー機能を導入しました。これにより、リダイレクトを通じて不要なコンテンツに誘導するポップアップ広告からユーザーは解放されることになります。
このように、Chromeはバージョン64により強力なポップアップブロッカーを手に入れましたが、これは昨年2017年にした約束を守ったにすぎません。むしろ、Chromeのアップデートとは関係なく提供される広告ブロック機能が、来月2月15日には単独の機能として有効化されることが発表されています。
これに対して、MozillaはQuantum命名した「Firefox 57(現在最新はFirefox 58)で、高速化されたブラウジング機能をうたっています。そして、それはMozillaが、「1,000個のタブを開いたとしても応答性が高い」と豪語するほどに革新的な出来事でした。
遂に、Mozillaがブラウザ・レースに帰ってきました。わたしは、もともとFirefoxひいきなのですが、シェアにみならず、その機能、スピード感などでも大きくGoogle Chromeには水をあけられていました。Firefoxは新エンジンを手に入れたバージョン57「Quantum」以降、Chromeへの追撃を始めたと言えます。再開されたレースは始まったばかりです。
一方、MicrosoftやAppleはどうしているかと言えば、ブラウザ分野でもビッグ・プレーヤーですが、目立った動きはなく、緩慢な感は否めません。とは言え、AppleのWebブラウザ「Safari 11」から搭載されたサードパーティのCookieを制限するITP(Intelligent Tracking Prevention)やMicrosoftのPCへの取り組みにも大きな期待がかかります。
ただ、すでにブラウザの主戦場は旧来のパソコンからモバイルに移行しており、携帯電話やタブレットの画期的な技術革新を待たなければならないという見方も一方にはあります。ここでは、AppleはすべてのiOSブラウザでWebKit / WKWebViewを使用することを、Android上ではBlink/Chromiumを一般的に使用しているという現状もあります。
はい、Chromeの強力なポップアップブロッカーがWindowsをはじめ、MacやLinux、そしてAndroidにも搭載されたことはすばらしいことです。ちょっと遅れていますが、いずれiOSデバイス向けのChromeにも搭載されるでしょう。
そして、MozillaはOS(オペレーティングシステム)を持たない唯一のプレーヤーとして第一線で戦っているだけでも賞賛に値します (過去にはFirefox OSがありましたね)。AndroidとiOSの2つのOS向けに別々に開発することを余儀なくされており、苦しい戦いが続きます。