Mozillaは2020年7月1日(現地時間6月30日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 78.0」を正式リリースしました。
今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 78.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 78.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- プライバシー保護ダッシュボード に、トラッキング保護・データ漏洩・パスワード管理を統合したレポートが表示されるようになった:
- データ漏洩がいくつ解決したか
- 未解決のパスワード漏洩がいくつあるか
プライバシー保護ダッシュボードを表示するには、アドレスバーに about:protections と入力するか、メインメニューから「プライバシー保護ダッシュボード」を選択する
- Firefox のリフレッシュによる問題解決が適切な場合 にもユーザーによる再インストールが試みられることが多いことから、アンインストーラーにリフレッシュのためのボタンが追加された
- スクリーンセーバーにより Firefox による WebRTC コールが阻害されることがなくなり、ビデオ会議などの利便性が向上した
- WebRender が Intel GPU 搭載の Windows ユーザーで利用可能となった
- Firefox 78 は新しい延長サポート版 (ESR) でもある。前回の ESR 版から本リリースまでの 10 のメジャーアップデートによって導入された機能の一部を紹介する:
- キオスクモード
- クライアント証明書
- Service Worker および Push API
- 自動再生のブロック
- ピクトインピクチャー
- about:certificate からのウェブ証明書の閲覧・管理
- Pocket からのおすすめ がイギリスのすべての利用者に表示されるようになった。新しいタブに Pocket の記事が表示されない場合は サポート記事 を参照されたい
修正
- パートナーからの助言に基づく、検索結果の品質向上のためのバグ修正
変更
- Linux における 最低システム要件 が変更された。本リリースより GNU libc 2.17, libstdc++ 4.8.1, GTK+ 3.14 以降が必要となる (バージョン 77 までは GNU libc 2.17, libstdc++ 4.7 以降であった)
- 古い暗号化機能の廃止に向けた努力の一環として、DHE ベースの TLS 暗号化スイートがすべて既定で無効化された (TLS_DHE_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA および TLS_DHE_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA)
- DHE ベースの TLS 暗号化スイートの無効化に伴うウェブ互換性の問題に対応するため、これまで非対応であったAES-GCM SHA2 ベースの暗号化スイート 2 つが利用可能となった (TLS_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256 および TLS_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384)
- TLS 1.0 および 1.1 を再度無効化 した (これは、バージョン 74 で一度無効化されたものが、新型コロナウイルスの問題を受けて撤回・延期 されていたものである)。TLS 1.2 以降に対応していないウェブサイトではエラーページが表示される
- コンテキストメニュー (タブ上で右クリックによる表示されるもの) からワンクリックで複数の閉じたタブを一度に元に戻すことが可能となった。また、「右側のタブをすべて閉じる」および「ほかのタブをすべて閉じる」が「複数のタブを閉じる」下のサブメニューに移動された
- アクセシビリティ機能の向上
- JAWS スクリーンリーダー環境において、データリストのある HTML インプットコントロール内で下矢印キーを押してもカーソルが誤ってインプットコントロールの次の要素へ移動してしまう問題を修正
- マイクロホン/カメラ/スクリーンの共有インジケーターにフォーカスしたときにスクリーンリーダーが大幅に遅延あるいはフリーズする問題を修正
- スクリーンリーダー環境において、数千におよぶ行・列のある巨大なテーブルの読み込みを大幅に高速化
- カスタムスタイルを持つテキストインプットコントロールにおいて適切なフォーカスアウトラインが表示されるようになった
- スクリーンリーダー環境において、開発者ツールのメインウインドウに入ったときにドキュメント閲覧モードが不適切に変更されてしまう問題を修正
- 偏頭痛・てんかんのユーザーへの配慮として、タブのホバー、検索バーの拡張などのアニメーションの削減
Enterprise
- macOS および Windows: OS の証明書ストアに保存されているクライアント証明書の実験的サポート (security.osclientcerts.autoload を true にセット)
- アプリケーションハンドラー、ピクチャーインピクチャーの無効化、マスターパスワードの必須化のための新しいポリシー
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 78 リリースノート を参照されたい
開発者
- 開発者ツールコンソールにキャッチできなかった Promise のエラーが詳細な名前・スタック・プロパティとともに記録されるようになり、JavaScript フレームワークのデバッグが向上
- 圧縮された変数のためのデバッガーの自動マッピングが Logpoints でも機能するようになった
- 開発者ツールのネットワークパネルにおいて、どの拡張やオリジン間リソース共有制限がリクエストをブロックしているかがハイライト表示されるようになった
- dotAll フラグ・Unicode エスケープシークエンス・後読み参照・名前付きキャプチャをサポートした SpiderMonkey の新しい 正規表現 エンジン
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計13個で、重要度別の区分では重要度区分「最高(critical)」はないものの、「高(high)」7件、「中(moderate)」4件、そして最も低レベルの「低(low)」2件の修正が行われています。
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 78 — Mozilla
「Firefox 78.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。また、延長サポート版である Firefox ESRについてもFirefox 68.10.0 にバージョンがアップデートされています。
なお、Firefox 78 は メジャーバージョンとしてmacOS バージョン 10.9, 10.10, 10.11 をサポートする最後のバージョンとなります。これらの macOS バージョンを利用している対象の方は、来年まで継続して延長サポート版 (ESR) 78.x がリリースされるので、そちらへ移行して頂きたいです。
Mozillaは、6〜8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 79」は現地時間2020年7月28日(火)のリリース予定となっています。
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