iOS最新バージョンである「iOS 11 beta」がApple毎年恒例の世界開発者会議「WWDC2017」で発表され、当日デベロッパー向けに最初のベータ版「iOS 11 beta 1」がリリースされました。ダウンロードサイトの混み具合から、多くのAppleデベロッパーアカウント ユーザーが所有のiOSデバイスにiOS 11をインストールしたことが伺えます。
ただ、実際にiOS 11 beta 1をインストールしたものの、安定性や様々な問題により、アップデートを後悔しているユーザーもいるかと思います。iOS 11 beta 1は最初のベータ版ですし、残念ながらバグ、クラッシュ、アプリの非互換性などのさまざまな問題があるのは当然と考えられます。元の安定したiOS 10に戻すことを考えている場合には、現在iOS 11の初期ベータ版からiOS 10.3.2、iOS 10.3.1、そしてiOS 10.3.3ベータ版のいずれかにダウングレードすることが可能です。ここでは最新のiOS 11を体験したものの、以前のバージョンに戻したいというユーザーのためのダウングレード手順を紹介します。
iOS 11初のパブリックベータ版およびiOS 11 beta 2 update 1をダウングレードする場合には注意が必要です。現在最新のiOS正式バージョン「iOS 10.3.2」にダウングレードすることはできません。
もし、「iOS 10.3.2」にダウングレードしたい場合には、一度iOS 10.3.3betaにダウングレードしてから行うことになります。以下の記事をご参照ください。
目次
ダウングレード前の注意点
ダウングレードの問題点は、ダウングレードしたiOSバージョンと同等かそれ以前のバージョンでバックアップしたものでないとデータを復元できないということです。以前はデバイスのiOSバージョンが古いものでも最新iOSバージョンのバックアップを復元することができましたが、iOS10になってから仕様が変わっています。特に今回のようなメジャーアップデートの場合にはiOS 11でバックアップを行なってもダウングレードしたiOS 10.3.xではデータを復元できません。
つまり、ダウングレードしたデバイスにデータを復元する場合、ダウングレードするバージョンと同じiOSでバックアップした最新のデータまでしか復元することができないということです。ダウングレードする前のiOSバージョンでバックアップしても、復元しようとすると以下のように「バックアップが壊れているか、復元先のiPhoneと互換性がないために、iPhone”iPhonexx”を復元できませんでした。」との警告メッセージが表示されてしまいます。
なので、ダウングレードする前に古いデータの復元でも大丈夫かよくよく確認しておく必要があります。もちろん、最新データでないと困るということであれば、iOSバージョンをアップグレードすれば解決なのですが、それではダウングレードする意味がありませんからね。
ダウングレードする前に行うこと
まずは、ダウングレード対象のiPhoneやiPad、iPod touchなどiOSデバイスのデータを必ずバックアップしましょう。ダウングレードした際に何らかの不具合があることも考えられます。その際にあわてることなく、復旧できるようにバックアップを取っておくことは必須です。iCloudバックアップといった便利なものもありますが、MacやWindows PCをお持ちであれば、データを丸っとバックアップ出来るiTunesの「iPhoneによるバックアップを暗号化」がオススメです。
iOS 11 betaからiOS 10.3.2にダウングレードする手順
バックアップを取ったら、次に「iOS 10.3.2ファームウエア」のダウンロードを行います。iOSファームウェアは機種によってダウンロードファイルが異なります。iPhone、iPad、iPod touchの使用するデバイスモデルを確認してファームウェアファイルを選んでダウンロードしてください。
iPhoneはデバイスのモデル(GSM、Globalなど)によってダウンロードするファームウェアが異なります。iPhone 6/6 Plus以前のiPhoneであれば背面カバーに記載されているモデル番号で確認することができます。それ以外のiOSデバイスの場合にはAppleサポートサイトで確認することができます。
ダウンロードしたらそのままにして、iPhone側の確認および設定に移ります。
iPhoneで行う確認と設定
1.「iPhoneを探す」を“オフ”に
ダウングレード対象のiPhoneの「iPhoneを探す」機能を「オフ」にします。[設定]アプリから[設定]→[Apple ID]→[iCloud]→[iPhoneを探す]ページを開いて行います。
- [設定]アプリから[設定]の画面上部の[Apple ID]設定をタップ、表示された[Apple ID]設定画面にある[iCloud]をタップします。
- [iCloud]設定画面の「ICLOUDを使用しているAPP」セクション内にある「iPhoneを探す」をタップします。表示された「iPhoneを探す」のトルグボタンをオフにします。
- 「Apple ID」のパスワード入力画面が表示されるので、パスワードをテキストボックスに入力して[オフにする]ボタンをタップします。
2.パソコンにiOSデバイスを接続
iTunesを使用しているMacまたはWindows PCなどのパソコンに、iPhoneなどのダウングレード対象iOSデバイスをLightningケーブルで接続します。
iTunesのダウングレード処理手順
上記までの前準備、「iOS 10.3ファームウェア(IPSW)」をダウンロード、ダウングレードまたは再インストール対象iOSデバイスの「iPhoneを探す」機能を“オフ”、そしてMacやWindows PCにiOSデバイスをケーブル接続したら、ダウングレード処理を実行します。
1.iTunesでiOSデバイスを選択
まず、iTunesを起動して画面左上にあるiOSデバイスアイコンをクリックします。
表示画面の左側パネルにある[設定]セクション下の[概要]項目が表示されていることを確認し、表示されていない場合にはクリックします。
2.「iPhoneを復元…」ボタンをalt/Optionキーを押したままクリック
[概要]画面のiOSデバイスの状態セクションにある「iPhoneを復元…」ボタンを、Macであれば[alt/Option]キー、Windows PCの場合には[Shift]キーを押したままクリックします。
3.ダウンロードしたファームウエアを選択
ファームウェア選択画面が表示されたら、先ほどダウンロードしたファームウェアファイルを選択します。今回は対応機種をiPhone 6sとして行います。「iPhone 6s」向けファームウェアのipswファイル名は「iPhone_4.7_10.3.2_14F89_Restore.ipsw」となります。他のiOSデバイスの場合にはそのデバイスにあったファームウエアを選択してください。選択したら[開く]をクリックします。
4.確認画面で[復元]をクリック
「iPhone の内容は消去され、iOS 10.3ソフトウェアで復元されます。復元は Appleにより検証されます。」画面で[復元]をクリックします。
5.ダウングレード処理を開始
以下のような画面に切り替わり、「ソフトウェアを抽出中…」からはじまり「復元の準備中…」「復元中」へとダウングレード処理が開始されます。
※ここで、iTunesで正規ファームウェアの「署名」確認が取れない(期限切れ、あるいは機種間違いなど)場合には、「iPhone”iPhonexx”を復元できませんでした。」メッセージ画面が表示され、ファームウェアの承認が拒否されます。
処理時点で「iOS 10.3」ファームウェアの「署名」が有効で、ダウンロードしたファームウエアがダウングレードするiOSデバイスと一致していれば、ダウングレード処理を続行することができます。
6.「このバックアップから復元…」を実行
ダウングレード処理が終了すると、iPhone本体の再起動とともにiTunesにデバイスが表示されます。「新しいiPhoneへようこそ」画面で「このバックアップから復元…」すれば、通常であればその内容を引き継ぐことができます(ただし、ダウングレードしたiOSバージョンと同等か、それ以前のバージョンでバックアップしたもののみです)。
ダウングレードの完了確認
iTunesでデバイスの「概要」を開いてiOSバージョンを確認してみましょう。「iOS 11 beta」から「iOS 10.3.21」へのダウングレードが成功していることがわかります。
この記事へのコメント
こちらを参考にさせていただきました。本当にありがとう。