Mozillaは2019年9月4日(現地時間9月3日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 69.0」を正式リリースしました。
今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 69.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 69.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- 強力なプライバシー保護機能である Enhanced Tracking Protection (ETP) が全ユーザーに対して有効となった:
- 既定の設定では、サードパーティートラッカーと暗号通貨マイニングがブロックされる
- 「厳格」な設定では、フィンガープリント採取もブロックされる
- The メディアの自動再生のブロック 機能が改善され、音声付きの動画だけでなくすべての動画の再生をブロックできるようになった
- アメリカおよび en-US 版のユーザー向け: 「新しいタブ」において Pocket のベストコンテンツにアクセスできるようになった
- Windows 10 May 2019 Update 以降において、Windows Hello 経由で Web Authentication の HmacSecret 拡張をサポート。これにより、ウェブ上でパスワードなしでの認証を広く利用可能となった
- 複数のビデオコーデックの受け入れをサポート。これにより、WebRTC 会議サービスにおいて、異なるクライアントからの異なるコーデックの動画を混在させることが容易となった
- Windows 10 ユーザー向けのパフォーマンスおよび UI の改善:
- Windows に対してコンテンツプロセスの優先度を適切にセットするための情報を提示することで、アクティブなタスクとバックグラウンドのタスクに対するプロセッサーの使用時間を調節できるようになった (動画と音声の自動再生を除く)
- 既存の Windows 10 ユーザー向け: タスクバー上のショートカットから Firefox を簡単に起動できるようになった
- macOS ユーザー向けのバッテリー消費およびダウンロード UI の改善:
- グラフィックカードを 2 枚搭載する macOS ユーザー向け (MacBook Pro など): バッテリー消費を抑えるため、低パワーの GPU への切り替えを積極的に行うようになった
- Finder に、ダウンロード状況を表示するようになった
- ARM 64 での JIT のサポートによる、JavaScript のパフォーマンスの改善
変更
- Firefox のプラグインサポートのロードマップ で既にアナウンスしたように、Flash プラグインの「常に実行」オプションが除去された。ウェブサイトの Flash コンテンツを実行するたびにユーザーに許可を求めるようになった
- Adobe Flash Player の廃止に向け、64 ビット OS 上で 32 ビット版 Firefox を実行しているユーザーを識別する必要がなくなることから、ユーザーエージェントのフィンガープリントとなるファクターを減らすようにした。これにより、プライバシー保護のレベルと、ほかのアプリをダウンロードする際のパフォーマンスが向上する
- 起動時のパフォーマンス向上のため、userChrome.css および userContent.css を既定では読み込まなくなった。これらのファイルによる Firefox のカスタマイズを継続するには、toolkit.legacyUserProfileCustomizations.stylesheets を true にセットする必要がある
Enterprise
- エンタープライズ環境の macOS を管理するシステム管理者向けに、Mozilla が署名した PKG インストーラーが提供されるようになった
開発者
- モバイルウェブ開発者向け: リモートデバッグ機能を古い WebIDE から再設計された about:debugging へ移行した。USB 経由でリモートデバイスから GeckoView のデバッグが可能となる
- ネットワークパネルにおいて、ブロックされたリソースが表示されるようになった。これにより、Enhanced Tracking Protection によるコンテンツや広告のブロック状況を理解することが可能となる
- 新しいイベントリスナーのブレイクポイント機能により、アニメーション、DOM、メディア、マウス、タッチ、ワーカーなど様々なイベントタイプでの一時停止が可能となった
- 開発者ツールにおいて、非テキストコンテンツのための代替テキストの存在を検証できるようになったほか、アクセシビリティパネルの「チェック項目」ツールバーが改善され WCAG Guideline 1.1 への適合状況をチェックできるようになった
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ問題についての修正は合計21件で、重要度区分「最高(critical)」1件、「高(high)」11件、「中(moderate)」5件、そして最も低レベルの「低(low)」3件の修正が行われています。
▶︎Security vulnerabilities fixed in Firefox 69 — Mozilla
「Firefox 69.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。
なお、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 68.1.0 および 60.9.0 にアップデートされています。
Mozillaは、6〜8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 70」は現地時間2019年10月22日(火)のリリース予定となっています。